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第16回ぐんま大会会長あいさつ

―ノーマライゼーションを問う機会に―

日本福祉教育・ボランティア学習学会
第16回ぐんま大会
会長 鈴木 利定

 私たちは、誰もが幸せな暮らしを願いながら、日々の生活を営んでいます。
 しかし、今日の急速な少子高齢社会や経済活動の変動は、私たちの生活に深刻な影響を及ぼしています。
 例えば、貧困の問題をはじめとして、孤立や孤独死、自殺、虐待、子が親を親が子をあるいは子ども同士の殺し合い、また、無差別殺人の多発化、さらに、差別と偏見、人権問題、消費者被害、情報阻害、災害被害などなど人為的に頻発し、早期に解決の必要な課題が山積しております。
これらは、特定の人々の問題ではなく、まさに私たち自身が当事者であり、社会的支援や対応が求められるすべての国民の問題であるのです。
 法律が制定され、施策や制度が整い、これによって福祉サービスが充実したとしても、私たちが私たち相互の生活問題として認識し、お互いの存在を認め合い、問題解決のための相互の協力関係を生活圏内で確立し、手を携えて問題解決に当らなければ、それらの解決は到底無理なことだと考えます。
 このような社会情勢の中にあって、日本福祉教育・ボランティア学習学会は、ボランティア活動を行っている人々や教育関係や福祉関係をはじめ各関係分野で長らく実践を積み上げてきている人々により、身近な福祉問題を生活問題としても捉え、活動や学習の素材としてこれらと向き合い、国民としての立場から問題の軽減或いは解決を図ることを目的として発足したものでした。その基調にあるものは、人々の尊厳を守り育てること、人々が共助・協働し支え合って生きる社会、即ちノーマライゼーション社会の実現を目指す中での学び合いです。しかし現実は厳しく、尊厳を守り育て、共助・協働し支え合わなければならないのに、高齢者や障がい者の人々が福祉教育・ボランティア学習の対象として客体化されている現実があります。そのため、対等・平等なノーマルな社会状況や生活環境にあるのか、「改めて問い直すことも必要ではないだろうか」と反省致しました。
 そこで第16回ぐんま大会では、これまでの実践に学びながら、ノーマライゼーションの原点を実際を通じて再確認するとともに、これを発展させるための「福祉教育・ボランティア学習」の新たな価値を探り、今後の実践・研究に役立つ機会にしたいと心から願って開催するものです。ご期待下さい。